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設備コラム マンション管理組合長期修繕計画
2026.06.29

【実例公開】給水方式変更工事が320万円アップ!? 見積もり推移から読み解く費用高騰の3つの原因

  • あるマンション(6階建て・14戸)の増圧直結給水方式への変更工事の実際の見積もり推移を公開。
  • 2013年から比較して、直近の見積もりは約1.8倍(約320万円アップ)に高騰。
  • 費用高騰の3つの原因は、「材料費の異常な高騰」「工事費・労務費の倍増」「アスベスト対策費など法令対応経費の増加」。
  • 現在の市場価格に基づいた長期修繕計画の早急な見直しと、根本的な設備更新の検討を推奨。

1. はじめに:止まらない給排水設備工事の費用高騰

マンションの管理組合や理事会の皆様、給排水設備の改修費用についてお悩みではありませんか?マンションの資産価値を維持するために欠かせない工事ですが、近年、その費用が急激に高騰しているのをご存知でしょうか?

「数年前に取った見積もりがあるから、その金額で長期修繕計画を立てている」という組合様は、いざ工事を実施するタイミングになって、予算が全く足りずに計画が頓挫してしまう恐れがあります。

今回は、給排水設備改修の専門業者である当社が、実際に同じマンションで作成した3つの年代(2013年・2020年・直近)の見積もりデータを大公開します。費用がどれくらい上がっているのか、そしてその原因は何なのかを詳しく解説いたします。

2. 【実例公開】同じマンションでの見積もり推移(2013年・2020年・直近)

百聞は一見に如かず。まずは、関東近郊の「あるマンション(6階建て・14戸)」で、受水槽方式から増圧直結給水方式へ変更する工事の、実際の見積もり金額(税抜)の推移をご覧ください。

2013年の見積もり 4,000,000円
2020年の見積もり 4,500,000円 (約50万円アップ / 約13%増)
直近の見積もり 7,200,000円

※2013年と比較して 約320万円(1.8倍)の高騰!

いかがでしょうか。2013年から2020年にかけては微増といった印象ですが、ここ数年の高騰ぶりは異常とも言えるペースです。わずか十数年間で、同じ内容の工事であるにもかかわらず、金額が1.8倍(約320万円アップ)になっています。

「なぜここまで金額が跳ね上がるのか?」と疑問に思われるのも当然です。次の章で、各年代の内訳データを比較し、費用高騰の原因を紐解いていきましょう。

3. 320万円アップの内訳と、費用高騰の「3つの原因」

では、具体的に「どの項目が・いつ・どれくらい」値上がりしたのでしょうか? 実際の見積もり書から、主要な項目ごとにまとめた3つの年代の推移表をご覧ください。

費用の内訳(税抜概算) 2013年 2020年 直近
① ポンプ本体・配管材料費 約175万円 約180万円 約255万円
② 施工費(配管・電気等の職人労務費) 約110万円 約130万円 約210万円
③ 設計・水道局への申請費 約25万円 約30万円 約60万円
④ 現場管理費・法令対応等諸経費 約90万円 約110万円 約195万円

※金額は分かりやすくするための概算値(税抜)です。

この表から分かる通り、単に「モノ(ポンプ)」が高くなっただけでなく、工事にかかるあらゆる項目で2020年以降に急激な費用上昇が起きています。これを大きく以下の3つの原因に分けて解説します。

  1. 材料費(機器・配管等)の異常な高騰
    表の①の通り、ポンプ本体や塩ビ管などの材料費が、2013年比で約80万円も増加しています。例えば、心臓部となる「増圧給水ポンプ」単体の価格を見ると、2013年は約145万円でしたが、近年では約220万円にまで跳ね上がっています。世界的な原材料価格の高騰や円安の影響が、設備機器の価格を直撃しているのです。
  2. 工事費・労務費(人件費)の倍増
    表の②の通り、現場で作業を行う職人の人件費(施工費)が、2020年以降急激に上昇しています。実際に見積もりを比較すると、「配管工事費」だけでも2013年の20万円から、直近では48万円へと2.4倍に跳ね上がっています。建設業界全体の人手不足と、2024年問題(働き方改革関連法の適用)による労働時間の制限により、純粋な「工事をするための費用」が劇的に上がっているのが現状です。
  3. 法令・安全基準の厳格化に伴う経費の増加
    見逃されがちですが、表の③や④のように、過去に比べて必須となる経費が増大しています。例えば、直近の見積もりには法改正による大気汚染防止法などの「アスベスト対策費」が新たに計上されるなど、法令遵守のためのコストが確実に発生します。加えて、安全対策の強化や長引く工期をカバーするための現場管理費なども積み重なり、諸経費全体を大きく押し上げています。また、水道局への設計・申請関連の費用も約25万円から約60万円へと大きく膨らんでいます。

4. 管理組合が今すぐ取るべき対策

この厳しい現状を踏まえ、マンション管理組合の皆様はどのように対応すべきでしょうか。プロの視点から3つの対策を提案します。

  1. 長期修繕計画の早急な見直し
    5年以上前の見積もりをベースにした長期修繕計画は、現状の相場と大きく乖離している可能性が高いです。現在の市場価格に基づいたシミュレーションをやり直し、必要であれば修繕積立金の改定を検討してください。
  2. 余裕を持ったスケジュールでの業者選定
    工事費が高騰している今だからこそ、建物の構造を熟知し、長期的な視点で適切な工法を提案できる信頼できる専門業者をパートナーとして選ぶことが重要です。しかし、職人不足により希望の時期に工事ができないケースも増えています。検討は早め早めにスタートさせましょう。
  3. 部分改修ではなく、根本的な更新を検討する
    古い設備を何度も修理するよりも、最新の給水方式に一新してしまった方が、中長期的なメンテナンス費用(受水槽の清掃費やポンプの点検費など)を大幅に削減でき、結果的にトータルコストを抑えられる場合があります。

5. よくある質問(Q&A)

Q. 増圧直結給水方式に変更する費用はどれくらいかかりますか?

A. マンションの規模や既存の配管状況によって大きく異なりますが、今回ご紹介した6階建て14戸のケースでは、直近で約720万円となっております。正確な費用を算出するためには、現地調査に基づくお見積りが必要です。

Q. 工事期間中、水は一切使えなくなるのですか?

A. いいえ、工事期間中ずっと使えないわけではありません。断水が発生するのは、新しい配管への切り替え作業を行う日程のみです。マンションの規模や配管系統によって断水の日数や時間は異なりますが、基本的には日中のみとし、事前にお知らせを配布して居住者様の生活への影響を最小限に抑えるようスケジュールを組みます。

6. おわりに:設備改修は「先延ばし」が最大のコスト増に

工事費用の高騰を見ると、「もう少し安くなるまで待とう」と考えてしまいがちです。しかし、給排水設備の老朽化は待ってくれません。万が一、漏水事故が起きれば、被害の復旧費用や入居者への補償など、想定外の莫大な費用が発生してしまいます。

残念ながら、今後設備工事の費用が大きく下落する見込みは薄いと考えられています。「今が一番安い」という認識を持ち、計画的に改修を進めることが、居住者の皆様の安心とマンションの資産価値を守る最善の策です。

■ 給排水設備のお悩み、当社にご相談ください!

当社は、豊富な実績を持つ給排水設備改修の専門業者です。「今の修繕積立金で工事が可能か知りたい」「実際の現場を見て見積もりを出してほしい」など、管理組合様が抱えるお悩みにプロの目線で的確にお答えします。調査・お見積りは無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は、過去の実績や一般的な見積もりデータを基に構成したモデルケースです。特定の物件・団体・工事案件を示すものではありません。建物の構造や既存設備の状況により、実際の工事費用は変動いたします。