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設備コラム マンション排水管管理組合
2026.04.30

【プロが解説】築45年マンションの排水管更新!図面なしから成功に導く手順と費用相場

  • 築40年超の漏水リスク:配管用炭素鋼鋼管(白管)の経年劣化による漏水サインと対策
  • 図面がない場合の解決策:共用部・専有部の調査による「系統図」および「平面図」の作成プロセス
  • 費用と期間の目安:調査〜資料作成(約3ヶ月)、テスト施工(調整含め約3ヶ月程度)、本工事(手続き〜完了まで約半年程度)のスケジュールと費用相場
  • プロの常識:図面があっても100%信用しない。専有部工事のトラブルを防ぐ「テスト施工(試験施工)」の重要性

築40年以上のマンション、排水管更新工事のサインとは?

マンションの築年数が40年を超えてくると、修繕委員や理事の皆様を悩ませるのが「給排水設備の老朽化」です。特に排水管の劣化は、下の階への漏水事故に直結するため、早急な対応が求められます。

過去の診断報告書などを拝見すると、当時のマンションでは共用部の通気管に「配管用炭素鋼鋼管(白管)」などが使用されているケースが多く見られます。鋼管類は経年により内部に錆コブが発生したり、肉厚が減肉したりすることで漏水リスクが高まります。「最近、配管周りで水漏れが起き始めた」という報告が理事会に上がってきたら、それは本格的な排水管更新(配管の取り替え)を検討すべき強力なサインです。

図面がない!?建築当初の図面紛失からどう立ち直るか

当社が担当した現場の事例をご紹介します。都内にある築45年のAマンション様から排水管更新のご相談をいただいた際、前提となる大きな課題がありました。それは「建築当初の竣工図面が存在しない」という事実です。

理由は定かではありませんが、残っていたのは簡易的な「販売パンフレット」のみでした。建物の血管とも言える配管の改修において、「図面がない」ことは致命的です。どう配管が通っているのか分からない状態では、正確な見積もりも工事計画も立てられません。

そこで私たちは、以下のステップで「ゼロからの配管系統図・平面図作成」に挑みました。

  1. 共用部パイプシャフト(PS)内の目視調査
  2. 専有部(お部屋内)のお風呂の上、天井裏、床下など、目視可能な箇所からのルート確認
  3. 壁や床の裏側など見えない部分に対する「点検口」の新規設置
  4. ファイバースコープ等を用いた開口調査

このような地道な調査を重ねることで、正確な施工図面(系統図・平面図)を復元することができます。

排水管更新工事の費用はいくらかかる?期間の目安は?

「排水管更新の費用はいくらかかる?」というご質問は、管理組合様から最も多く寄せられます。マンションの規模や配管のルートによって大きく変動しますが、参考までに都内Aマンション(約45戸規模)の計画プロセスと概算費用をご紹介します。

  • ステップ1:事前調査・設計(期間:約3ヶ月)
    共用部・専有部の調査から、施工図(系統図・平面図)作成、概算見積書などの資料作成までで約3ヶ月を要します。
    費用目安:約50万円〜100万円
  • ステップ2:テスト施工(期間:約1〜3ヶ月)
    調査結果をもとに協力してくれる住戸を決定し、日程調整を行った上で実施します。室内作業自体は5日程度ですが、調整を含めるとテスト施工完了までに3ヶ月程度を要する場合があります。
    費用目安:約130万円×実施戸数(上下階2部屋×2系統など)
  • ステップ3:本工事(期間:約半年程度)
    テスト施工後、住民様向けの工事説明会および全戸調査を実施します。その後、理事会の承認や総会での決議を経て着工となり、工事完了までを含めると、この規模の物件で約半年程度を要します。
    費用目安:約5,800万円(1戸あたり約130万円想定)

※上記はあくまで一例です。各ステップでの居住者様との調整状況により工期は変動するため、修繕計画には十分なゆとりを持つことが重要です。

専有部工事の場合の注意点は?失敗を防ぐ「テスト施工」

排水管の更新工事は、共用部だけでなく「専有部(居住者様のお部屋の中)」に深く関わるため、非常にストレスの大きい工事となります。壁や床を一部解体(開口)する必要があるからです。

ここでプロの給排水設備業者としての重要な知見をお伝えします。それは、「図面があっても、その通りに配管されているとは100%信用してはいけない」ということです。新築時の現場での仕様変更や、過去の個別リフォームなどにより、図面と現況が異なることは日常茶飯事です。

他社工法や一部の業者の中には、図面だけを頼りにいきなり全戸の本工事に着手し、「開けてみたら配管の位置が違い、工期も予算も大幅に超過した」というトラブルを起こすケースがあります。これを防ぐのが「テスト施工(試験施工)」です。本工事の前に、代表的なお部屋で実際に解体・配管更新・復旧までを行い、「工期通りに終わるか」「想定予算内で収まるか」を管理組合様とお互いに確認するプロセスが、失敗しないための最大の防御策となります。

プロの現場目線:専有部への影響を最小限に抑える構造の発見

現場では、意外な発見が居住者様の負担を劇的に軽くすることもあります。先ほどの築45年Aマンション様での調査中のことです。

共用部の立て管には、鉄管に塗装が施された古い鋼管が使用されており、全面的な交換が必須でした。私たちは当初、「専有部内の床を広範囲に解体して、奥深くの配管まで全てやり直す大変な工事になるかもしれない」と覚悟していました。

しかし、綿密に開口調査を進めたところ、お部屋の奥へと続く配管には「横引き管(スラブ上などを水平に走る配管)」として硬質塩化ビニル管が適切に接続・配置されている構造であることが判明しました。この現場の幸運な構造により、部屋の奥まで丸々解体するような大規模な専有部工事を回避することができ、居住者様の生活への影響と修繕費用を大幅に抑える計画を立てることができました。現場に足を運び、自らの目で確認することの価値がここにあらわれています。

よくある質問(Q&A)

Q. 工事中はお水やトイレは使えますか?

A. 工事の進捗により、一時的な断水や排水制限(トイレ・キッチン等が使用できない時間帯)が発生します。ただし、居住者様のご不便を最小限にするため、制限は日中の作業時間内(例えば9時〜17時)に留め、夕方以降は使用できるよう仮復旧を毎日行いながら進めます。詳細なスケジュールは事前の住民説明会で丁寧にご案内いたします。

Q. 専有部(部屋の中)はどのくらい壊しますか?

A. マンションの配管構造によって大きく異なります。パイプシャフト(PS)周辺の壁や、トイレ・洗面所の床の一部を開口(解体)するのが一般的です。当社では、事前の「テスト施工」を行うことで、どこを最小限に開口すれば配管を更新できるかを確実に見極め、無駄な解体を行わないよう努めています。

Q. 建築当時の図面がなくても見積もりは可能ですか?

A. はい、可能ですが、正確なお見積もりを出すための「図面作成(事前調査)」に費用がかかります。記事内でもご紹介した通り、図面がない場合はファイバースコープを用いた開口調査や目視調査により、プロのエンジニアが現在の配管ルートを割り出し、ゼロから系統図・平面図を作成した上でお見積もりを算出いたします。

まとめ:個別事情に合わせた最適な修繕計画を

マンションの排水管更新工事は、建物ごとに「図面の有無」「配管の材質」「専有部の構造」が全く異なるため、一般的なマニュアル通りには進みません。管理組合の理事様におかれましては、漏水などのサインを見逃さず、まずは現状を正確に把握する「事前調査」と「テスト施工」を重視する専門業者を選ぶことが成功の鍵となります。

「うちのマンションも図面がないかもしれない」「現在の修繕積立金で最適な工事ができるか不安だ」など、記事では書ききれない個別事情やご心配事がございましたら、ぜひお気軽にプロフェッショナルにご相談ください。

▼ 専任の技術者が、皆様のマンションの状況に寄り添って最適な調査・改修プランをご提案します。

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※本記事は、過去の実績や一般的な見積もりデータを基に構成したモデルケースです。特定の物件・団体・工事案件を示すものではありません。